社長のひとりごとCOLUMN

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2025.02.03 そろばん哲学という生き方

 未来会議のスタッフにお願いして、強くて愛される会社研究所によるサーベイを実施し、弊社の診断レポートを拝見させていただきました。弊社の強くて愛される会社度は64.9ポイントであり、「ギリギリ強くて愛される会社」と診断されました。濃い内容のものをざっと目を通させて貰い感じたことは、経営者・経営幹部・社員の間に大きなギャップがあるということ。ギャップを縮めることができ、相互の距離が縮まり、風通しが良くなれば、社員のウエルビーイングが高まり、更に本物の強くて愛される会社になっていくと思います。未来会議の皆さんの力を借りて、このギャップを埋めていくためにどうすれば良いか、本年から考え、ひとつずつ行動を起こしていきたいと考えています。
 ギャップを埋めるための行動指針として、下村湖人さんの「青年の思索のために」の中に熟考すべき中身があります。それは「そろばん哲学」という内容です。紹介します。甲野さんのそろばんから生まれた人生哲学。簡単明瞭で、「引き算と割り算は数の勘定に役立つだけでもうたくさんです。人間と人間の関係に引き算や割り算があってはなりません。人生の営みは全て足し算と掛け算でいきたいです。」また、「自分が大将にならねば気がすまない人、他人を批評してけちをつけたがる人、そねみ深い人、一言居士―およそそうした人たちは、自分では人一倍世の中の役に立つという自信をもっている人ですが、実は白痴や怠け者以上に世の中の害になるものです。白痴や怠け者は、せいぜい人生の引き算をやる程度ですが、こういう人は大いばりで割り算をやるからです。何といっても割り算ほど人生にとって恐ろしいものはありません。」甲野さんが、能率の上がらない人を指導して、能率をあげさせる手際というものはまったく驚異的でした。それは「一に一を足すと二になり、二に二をかけると四になり、野菜に肥料をかけると伸びがよく、火に油を注ぐと燃えが良くなります。要するに引き算と割り算をやらないで、足し算と掛け算でいくことですよ」。甲野さんの人生の理想は、むろん足し算より掛け算の方でした。「足し算の人生では、甲の人の力と乙の人の力がそのまま集まるだけで、お互いにちっともその力を強めあうことがありません。ところが掛け算の人生となると、甲の人の力は乙の人の中に、乙の人は甲の人の中に溶け込んで、お互いに力を強めあうのです。つまり自分を忘れ、他を生かそうとするところに、二と三が五にならないで六になる、掛け算の秘密があるのです。人生の理想は創造にあると思いますが、二と三が六になってこそ創造と言えるのです。そしてそれには、お互いに自分を忘れて他を生かす、掛け算の人生を送ることが大切です」いかがでしょうか。人と人の間は、足し算と掛け算で在りたいですね。
 今回のサーベイでのギャップは、足し算と掛け算の関係で埋めていきましょう。
合掌

2025.01.06 追悼の記~松岡 浩さんを偲ぶ

 人は一人では生きられない。母親の深い愛情から始まり、父親や師匠から教えを受け 学び、生きる手立てを身に付け、与えられた人生を全うする。人生は恩人に溢れていると 言ってよいだろう。自分の人生63年を振り返ってみても学生社会人時代に多くの人の世話 になり、今も曲りなりに経営者の立場を頂いている。
 多くの恩人の中でも52歳の時に出会ったタニサケの松岡会長は恩人中の恩人である。 きっかけは1冊の小冊子「生きる力」だった。それは会長が「心の小冊子」シリーズと名 付け10年以上毎年発行していた。ある方はこの小冊子を手製の仏像と言った。少々のご利 益ではない。手を合わせて受け取られることをお薦めしたいと。当時弊社は業績の悪化で 、大変な状況に直面した。そこで、メインバンクの救済を仰ぐことになり、バンクミーテ ィングも数回行われた。最終的にはメインバンクに支援してい頂けることになり、廃業は 免れた。その過程の中で憔悴しょうすいし切った自分に「生きる力」が与えられた のだった。
 本で知った2日間の「タニサケ塾」に向かった。大垣駅で塾に向かうマイクロバスに 乗り込んだ。後々になり、会長から言われたことがある。「最初に君を見たとき亡霊が乗 ってきたように見えた」。あまりにやつれた自分はそのように見えたのであろう。最終的 には4回塾に行った。会長から受けた珠玉の言葉や訓練は文面にすればたわいもないこと であったが、会長の体験と共に語られる言葉の重みに自分の五感はことごとく反応して、 何度も何度も涙を流した。悔しさの涙、懺悔ざんげの涙そして感謝の涙であった。 教えは多岐にわたり言葉を重ねたら切りがないのであるが、今でも弊社の経営ができてい るのは、「自己中心」から「他者中心」に自分の心がシフトしたことであろう。共にバス 旅行する機会があったとき、手の平にマジックで書いて頂いた「他者中心」の言葉は、今 でも手の平に感触は残り、心に刻みつけられている。
 昨年、11月25日に80歳で逝去され、最後のお顔を拝見させて頂いた。どんなに忙しく ても我々のために時間を作って、行くたびに見せてくれた満面の笑顔が思い出されて嗚咽おえつした。 会長、自分も天に召されたとき、再び経営談義で花を咲かせたいです 。少しはお前も成長したな、なんて言って頂きたいです。その日が来るまで、小冊子にも ありました「大感謝」を忘れません。
 本当に会長!ありがとうございました。
合掌